以下、インポーター様からの引用。
修道会のこと
西アフリカのカメルーンにある「ノートルダム・ド・クタバ・シトー会修道院(Monastère Cistercien Notre Dame de Koutaba)」は、世界で唯一、コーヒーを生産するトラピスト修道会の修道院です。トラピスト修道会とは、カトリック教会の中で、祈りと労働を大切にしながら、修道院の中で自給自足に近い暮らしを続ける修道会です。正式には「厳律シトー会」とも呼ばれます。自給自足を大切にするトラピスト修道会の修道院では、昔からそれぞれの土地で収入を生み出すための産品をつくってきました。その代表がかの有名な「トラピストビール」です。
1968年、カメルーン独立期の治安悪化を受けて南部のエデアからクタバへ移った修道士たちは、第一次世界大戦後に放棄された旧ドイツ軍兵営跡地を新たな拠点としました。それが現在のノートルダム・ド・クタバ・シトー会修道院(クタバ修道院)です。
修道院のコーヒー
クタバ修道院の周辺には、1880年にドイツ植民地政府が設けたアラビカ種のコーヒーの試験農園が残されていたのだそうです。修道士たちはそのコーヒー園を少しずつ蘇らせ、カメルーンで最初期の本格的な焙煎事業や加工品コーヒーの製造を始めました。収穫したコーヒーは主に修道院で焙煎され、余剰分はパリのシトー会本部へ送られてきました。そのため、クタバの生豆が一般のコーヒー市場に出ることはほとんどありません。
世界最高峰のトラピストビールが「修道院でしかつくられない」という希少性を持つように、クタバのコーヒーにも、長い歴史と閉ざされた流通が生み出す特別な価値があります。しかし近年、その農園は土地をめぐる圧力や放火などの被害に苦しみ、かつての半分以下にまで面積が縮小し、現在では、ウォッシュド・アラビカの年間生産量はわずか約3トンだと言われています。
ロブスタに希望を抱く
このコーヒーを輸出してくださっているカイさんは、2023年から毎年、クタバ修道院を訪れています。修道士たちと少しずつ関係を築きながら、コーヒーの収穫後の処理や設備について、一緒に改善を続けてきました。そこで生産されたアラビカ種のコーヒーを買い付けたいカイさんの思いとは裏腹に、そのほとんどが、パリのシトー会本部に届けられることとなりました。
そこでカイさんが手伝うことになったのが、修道院の近くにあるクオプタモ地域の農家からアラビカ種のコーヒーを集める仕事でした。その地域のコーヒーについて調べる中で、クタバ周辺は、カメルーンの中でも特に標高の高いロブスタの産地だったということを知ることになります。しかも修道院では、それまでにも北西部のマグバ山地に暮らす農家からロブスタを買っていました。天日乾燥させたロブスタでしたが、その品質はとても良いものだったそうです。「それなら、このロブスタを修道院で精製したらどうだろう」。カイさんはそう考え、修道院のヘンリー神父に提案しました。
2トンのロブスタ
アラビカが足りないのであれば、マグバの農家からロブスタのコーヒーチェリーを買う。そして、それを修道院に運び、修道士たちと一緒に水を使った方法で丁寧に精製する。目標は約3トン。ヘンリー神父はすぐに賛成してくれました。カイさんは収穫期の約1か月半、農家を一軒ずつ訪ね、コーヒーチェリーを集めて修道院へ運びました。思っていたほど簡単な仕事ではなかったと言います。最終的に生産できたのは、目標の3トンには届かない、わずか2トンでした。
カメルーンの山あいで暮らす農家さんたちが育てたロブスタを、修道院へ運び、修道士たちが一粒ずつ精製しています。何度も農家さんのもとを訪ね、コーヒーを集め、運び、乾燥させるという根気のいる時間が必要だったそうです。もともと予定していたアラビカが買えなくなったことから始まった、偶然のような出来事。でも、そのおかげで生まれたのが、この2トンのウォッシュド・ロブスタでした。まだほとんど知られていない、クタバ修道院の新しいコーヒーの物語として、お楽しみください。




